夜空にはロマン溢れる壮大なドラマがあります!!
是非一緒に夜の空を旅して見ませんか??

【勇士ペルセウス】長い剣を振りかざし、天の川から姿を表す

おはようございます。幾顆蜜柑です。

秋も終わりに近づいてくると、遂に古代エチオピア王家に伝わる星座神話の勇士ペルセウスが登場します。長い剣を振り上げて、女怪メドゥサの首を掴んでいる姿は秋の天の川の中から見えてきます。前回はペルセウス王子がアンドロメダ姫を救うお話を書きましたが、今回は王子の誕生秘話と女怪メドゥサを退治した時の物語を書いていきたいと思います。

 

 

【黄金の雨は大神ゼウスの化身】ペルセウス誕生秘話

アルゴス王アクリシオスには子供が娘のダナエしかいませんでした。息子が欲しかったアクリシオスは、ある日神にお伺いをたてました。神のお告げは、いずれアクリシオスは自分の孫に滅ぼされるというものでした。それに驚いたアルゴス王は、娘のダナエを青銅の塔に閉じ込めて誰にも会えないようにしたのです。しかしかねてから美しいダナエに恋をしていた大神ゼウスは黄金の雨となって塔の小窓から忍び込み、ダナエの身体にその雨が降り注ぐと、やがて彼女は男の子ペルセウスを産んだのです。

 

【星座神話はここから始まる】海に流されたダナエと幼きペルセウス

神のお告げを恐れたアクリシオスは、娘であるダナエと孫のペルセウスを木の箱に閉じ込めて海に流されてしまいます。やがて箱は海を漂ってセリフォス島へと流れ着き、この島の王の弟であるディクテスに助けられました。ディクテスのもとで立派に育ったペルセウスは、ある日島の王であるポリュデクテスの誕生祝いに招待されます。貧しかったペルセウスは、王に献上する物がなかったので、代わりに女怪メドゥサの首を持ってくることを約束するのです。

 

【5つの神器を携えてメドゥサ退治】大神ゼウスからの贈り物

物語によく出てくる女怪メドゥサはゴルゴンの三姉妹の1人です。髪の毛は生きている蛇で、目を見ると相手を石へと変えてしまう恐ろしい怪物です。勇敢なペルセウスでも流石にそのような怪物を相手に素手で立ち向かえるはずもなく、それを見ていた大神ゼウスは、女神アテネと伝令神ヘルメスに息子の手助けを頼みます。2人の神は、鏡のように磨かれた剣と盾、姿を消す事ができる兜と翼がついたサンダル、メドゥサの首を入れる為の革袋を与えました。そしてペルセウスは海辺で寝ているゴルゴン三姉妹の1人、メドゥサの首を切り落とし、天馬ペガススに跨って王宮へ向かいます。怪獣くじらに襲われそうになっていたアンドロメダ姫を救ったのは、その帰りの出来事となります。こうしてペルセウスは妻となったアンドロメダ姫と一緒にセリフォス島へと急いで帰ります。

 

【石にされてしまった島の王】神の予言も大的中!!

島へ帰ってきたペルセウスですが、母とディクテスの姿が見当たりません。2人はポリュデクテス王の迫害から逃れるために祭壇に隠れていました。事情を知ったペルセウスは王宮へ乗り込み、悪王ポリュデクテスとその家来達の前でメドゥサの首を掲げて石へと変えてしまったのです。その数年後、ペルセウスは母のダナエと妻のアンドロメダと共に、祖父であるアクリシオス王に会うためにアルゴス国に帰ってきました。アクリシオス王は、かつての神の予言を恐れて姿を消してしまいました。ところが、ラリッセ町で開催された競技会でペルセウスが参加して円盤投げをすると、手元が狂って観客席に紛れて見物していたアクリシオス王に当たってしまいました。それを聞いたペルセウスは深く悲しみ、アクリシオス王を手厚く葬ったそうです。

 

【悪魔の星アルゴス】明るさを変える変光星は危険な星??

ペルセウス王子が手に掴んでいる女怪メドゥサのひたい辺りで輝く星、それは変光星アルゴスです。アルゴスはアラビヤ語で「悪魔の頭」に由来します。アラビアの人々は、規則正しく明るさを変える変光星を不幸で危険な星と考え恐れたそうです。メドゥサは元々美しい女性でしたが、自分の金髪の髪を自慢し過ぎた為に、女神アテナの怒りにふれて怪物にされてしまったと言われています。1782年、イギリスの若者ジョングッドリックは、2日と20時間59分の周期でアルゴスが明るさを変える星だと明らかにしました。当時彼は17歳で、不自由な身体ながらに半年間アルゴスを観測し、アルゴスの周りにある天体が星を一部覆い隠す為に変光する説を発表しました。ただ、この説が証明されたのはそれから100年も後になってからでした。

 

【振りかざした長剣に注目!!】長剣に輝く二重星団と流星群

勇士ペルセウスが掲げている長剣に注目して見てください。あわい光の天の川の中に強い光を放つ星が見えると思います。そこに双眼鏡を覗いて見ると天の川の中に二つの星の集団、二重星団を観測する事ができます。その中には、赤い星や黄色など様々な色彩を楽しむ事ができます。また8月上旬から8月中旬までペルセウス座輻射点から流星が飛び出していくように流星群を見る事ができます。ピークは8月12日〜8月13日で、都会の明るい空でも見える流星群が飛ぶこともあります。

 

秋の星座神話はやはり勇士ペルセウスなので、今回はかなり長く書いてしまいました。それだけペルセウスの物語は素晴らしく、登場人物も魅力的だと思います。因みにギリシャ神話の一番の豪傑ヘルクレスは、ペルセウス王子とアンドロメダ姫のひ孫にあたります。その辺りの繋がりも書いていければ、より一層星座神話を楽しんで頂けるのではないでしょうか?

 

最後までお読みいただき、ありがとうございました!!